『三人目の幽霊』 大倉崇裕
ツイッターで「推理小説を読みながら寝るぞよ」というような事を呟いたら漫画家の河井克夫先生が「『七度狐』を読んでたけれど面白かったよ」と教えてくださいまして、それならば、と検索してみましたところ、どうやら『七度狐』は大倉崇裕先生の<落語シリーズ>というシリーズものであるらしく、シリーズ物はなるたけ第一作から順番に読みたい僕は早速本屋で<落語シリーズ>第一作『三人目の幽霊』を購入して参りました。
これが読み始めるとなるほど、お勧めされただけのことはあり大変面白く一晩であっという間に読み終えてしまいました。
東京を舞台に落語雑誌の編集長を務める牧大路と、新人編集者で落語はズブの素人の間宮緑が様々な事件にぶつかりながらも牧の洞察力と知識量によって鮮やかに解決されていくという連作物です。
<落語シリーズ>と銘打つだけあって古今東西の落語がそれぞれの事件の解決の糸口に繋がっており、落語入門としても大変面白い作品になっております。
また登場人物も魅力的で、特に牧や緑の元に事件を持ち込んでくる噺家さんたちの造形が面白いだけでなく、落語界の慣わしやお約束といった裏側が覗き見ることができるのもとても愉しいです。
落語の「怪談噺」に纏わるエピソードなどはミステリだけでなく幽霊物としてもよく出来ており、収録作の『三鶯荘奇談』などは思わず背筋がぞくりと冷えてしまいます。
一作でファンになってしまいました。
早速『七度狐』を購入して参りましたので、楽しみに読もうと思います。
- 作者: 大倉崇裕
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2007/06/10
- メディア: 文庫
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