僕は友達が少ない

いわゆる青春時代における「暗黒期」と呼ばれるような友達もいなけりゃ好きな女子にはキモがられ、ヘタすりゃ苛められてさえいるような時期が、創作者にとって重要だというのはとてもよくわかります。
「どーして俺には友達がいないんだ、くそっ!」とか、
「どーして俺の好きなあの子は野球部の先輩のことが好きなんだ、くそっ!」とか、
「どーして俺ばかりがこんな目に遭うんだ、くそっ!」とか、
「もー!とにかく、くそっ!くそっ!」等の「くそっ!」ポイントを延々貯め続ける日々です。
そのポイントが一定数以上貯まると、次に少年少女たちは
「どーして俺は魔王の息子じゃないんだ、くそっ!」や、
「どーして俺に超能力を目覚めさせる博士が近所には住んでいないんだ、くそっ!」や、
「どーしてどーして美少女の転校生が『あなたにも視えるというの…?あれが?』と驚愕しないんだ、くそっ!ていうか、美少女の転校生だけでもいいから来いよ!くそっ!」等の新たな「くそっ!」ポイントを貯める日々になるわけです。
その期間を「暗黒期」もしくは「厨二病」と呼びます。
この期間に人は様々などうしようもない妄想に頭を働かせるのです。
だけどその内、「ないわ。これ、ないわ」と気付く事になります。
それは恐らく高校生くらいになった時期でしょうか。
そろそろクラスの皆も「大学」やら「専門」やら「家業」やらの現実を意識し始める頃合です。
その年齢くらいになるとさすがに少年少女たちは「俺、魔王の息子じゃなかったわ」とか「超能力とか、手品の延長みたいなもんかも」とか思いはじめるのです。
そして自分が延々貯め続けていた「くそっ!」ポイントを破棄する時が来るのです。
「くそっ!とか言ってる場合じゃねえわ」と。
そこから人は二つの道に進みます。
一つは、「くそ」ポイントを完全に「なかったこと」にする人。
そしてもう一つは、「くそ」ポイントを自身の創作に注ぎ込む人です。
音楽、小説、映画、演劇、漫画、絵画、造形、などなど。
自分にしか歩めなかった道を、自分でしか見ることの出来なかった景色を、何かの形にして、世の中の人々に見せ付けてやろうとする人です。
自分が間違ってたのかもしれない。世の中が間違ってたのかもしれない。何か得体の知れないなにかが間違ってたのかもしれない。
けれども、あの時期、自分が味わった思いと見てきた景色は、自分だけにしか人に伝えられないものなんだ。という経験が創作者にとってすごく大切なのです。

俺?俺は中一の、初めてのクラスでの自己紹介のときに筋肉少女帯の『釈迦』のナゴムレコードバージョン(「割れた娘の頭から弾ける脳髄」って歌詞のやつ)をフルコーラス熱唱して爆笑の後にドン引きを勝ち取ったわ!

後は推して量ってくれると、お兄さん嬉しいなっ!

筋肉少女帯 ナゴムコレクション

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